URLの基本構造を理解しよう!ドメインとプロトコルの仕組み – Web制作の基礎知識
- 2025/07/07
- INTRODUCTION
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Webサイトを作成したり、インターネットを利用していると、URLについて様々な疑問が生まれることがあります。「なぜwwwが付いているサイトと付いていないサイトがあるの?」「httpとhttpsの違いは?」「URLの最後にスラッシュが必要なの?」
今回は、こうした疑問を解消するために、URLの基本構造と仕組みを詳しく解説していきます。Web制作を行う上で欠かせない知識です!
今回の目標
- URLの基本構造を完全に理解する
- ドメインの階層構造(トップドメイン・登録ドメイン・サブドメイン)を学ぶ
- プロトコル(httpとhttps)の違いと重要性を知る
- 正式なURLの形式とWebサーバーの動作を理解する
- デフォルトドキュメントの仕組みを学ぶ
重要: この記事では、Webサイト制作や運営で必要となるURLの知識を体系的に学習していきます。
目次
URLの基本構造
まず、URLがどのような要素で構成されているかを理解しましょう。
URLの構成要素
一般的なURLの例
https://www.sample.com
各部分の役割
https://
:プロトコル(通信方式)www.sample.com
:ドメイン名(サーバーの場所)
より詳細なURLの例
https://www.sample.com/about/
追加される要素:
/about/
:パス(ファイルやフォルダーの場所)
プロトコルとドメインの関係
最も重要な部分
今回の記事では、URLの中でも特に重要な以下の部分に焦点を当てます。
- プロトコル部分:
https://
- ドメイン部分:
www.sample.com
- パス部分:
/about/
(特にデフォルトドキュメント)
これらの理解が、Webサイト運営の基礎となります。
ドメインの階層構造を理解する
ドメインは階層構造になっており、右から左に向かって「トップドメイン」「登録ドメイン」「サブドメイン」と呼ばれます。
ドメインの階層とは
基本的な考え方
ドメインは「.」(ピリオド)で区切られた階層構造で、右側ほど上位の階層になります。
例:www.sample.com
- www サブドメイン
- sample 登録ドメイン
- com トップドメイン
各階層の役割
トップドメイン(トップレベルドメイン)
- 最も上位の階層
com
、net
、jp
、org
など- 用途や地域を表す
- 全世界共通の管理体制
登録ドメイン
- 組織や個人を識別する部分
sample
、google
、amazon
など- トップドメインと組み合わせて全世界で唯一の名前
- レジストラー(登録業者)が全世界で唯一の名前になるように管理
重要な制約:登録ドメインにピリオドは使用できません
- ピリオド(.)は階層を区切る特別な文字のため、登録ドメイン名の中では使用禁止
- 例:
sample.test.com
という名前は不可能(sample.test
が登録ドメインになってしまう) - 使用可能な文字:英数字(a-z、0-9)とハイフン(-)のみ
- ハイフンは先頭と末尾には使用不可
サブドメイン
- サービスやサーバーを識別する部分
www
、mail
、blog
など- Webサーバーで自由に設定可能
- 同じ登録ドメインの所有者が管理
ローカル環境でのドメイン
ローカル開発環境では、特殊なドメインを使用することができます。
なぜローカル環境で特殊なドメインを使うのか
環境の区別を明確にするため
ローカル開発環境とグローバル(本番)環境を区別するために、実際のインターネット上では使用できない特殊なトップドメインを使うことが推奨されます。
これにより、開発中のサイトと本番サイトを間違えることを防げます。
ローカル環境の例
例:www.sample.local
- www サブドメイン
- sample 登録ドメイン
- local トップドメイン
.localドメインの特徴
ローカル専用のドメイン
.local
は特別なトップドメインで、インターネット上には存在しません。
ローカル開発環境でのみ使用され、外部からはアクセスできない安全な環境を提供します。
このようなローカル専用ドメインを使用することで、開発中のサイトと本番サイトを明確に区別でき、「間違って開発中のサイトを公開してしまう」といったトラブルを防ぐことができます。
よく使われるローカルドメイン
開発環境によって、以下のようなローカル専用ドメインが使われています:
.local
:macOSやローカル開発環境で一般的.localhost
:Windows環境でよく使用.test
:開発・テスト環境専用
これらのドメインは、すべて「実際のインターネット上では機能しない」という共通点があり、開発者が安心してテストできる環境を提供しています。
グローバルなドメインの世界
インターネット上で使用される実際のドメインの仕組みを理解しましょう。
一般的なトップドメイン
主要なトップドメイン
.com
:商用サイト(最も一般的).net
:ネットワーク関連.org
:非営利組織.info
:情報サイト.biz
:ビジネス
国別ドメイン
.jp
:日本.us
:アメリカ.uk
:イギリス.de
:ドイツ
特殊な日本のドメイン構造
日本の特殊なドメイン
example.co.jp
example.ne.jp
example.or.jp
構造の解説
- example 登録ドメイン
- co 属性ドメイン
- jp トップドメイン
特徴
- トップドメインが
.jp
- 属性ドメインが
co
、ne
、or
など(組織タイプ) - 登録ドメインが組織名(
example
) - 実質的に「トップドメイン」が2つの部分に分かれている
日本では中間にある co
などを『属性型ドメイン』と呼ぶことがありますが、これはJPドメイン特有の構造です。
日本の特殊ドメインの例
.co.jp
:株式会社.ne.jp
:ネットワークサービス.or.jp
:非営利法人.go.jp
:政府機関.ac.jp
:大学・研究機関
ドメインの登録と管理
ドメインの所有権
トップドメイン + 登録ドメインの組み合わせが、全世界で唯一のものでなければなりません。
例:
田中商店.com
:東京の田中商店が所有田中商店.net
:大阪の田中商店(別会社)が所有田中商店.jp
:名古屋の田中商店(別会社)が所有
全世界で唯一のものになるようドメインを管理しているのがレジストラです。
レジストラ(登録業者)の役割
レジストラ(登録業者)とはドメイン登録を扱う会社のことです。
- ドメインの登録申請を受け付け
- 重複がないかチェック
- 年間料金を徴収してドメインを管理
- 世界中のインターネットでドメインが使用できるよう情報を管理
日本のレジストラ
日本国内のレジストラの代表的な組織はGMOインターネットです。
GMOグループでは、お名前.comとムームードメインという2つのブランドでドメインサービスを提供しています。
お名前.comは法人や個人問わず幅広く利用されており、ムームードメインは特に初心者や個人向けに使いやすさを重視したサービスとして人気です。
サブドメインの自由度
サブドメインの特徴
登録ドメインを所有していれば、サブドメインは自由に設定できます。
例:sample.comを所有している場合
www.sample.com
(一般的なWebサイト)blog.sample.com
(ブログ)shop.sample.com
(オンラインショップ)api.sample.com
(API サーバー)test.sample.com
(テスト環境)
サブドメインの設定方法
- Webサーバーで設定
- ドメイン管理画面で設定
- 同じサーバーでも別々のサーバーでも設定可能
プロトコルの重要性
URLの先頭に来る「プロトコル」について詳しく学習しましょう。
プロトコルとは
プロトコルの定義
- ブラウザとサーバー間の通信方式を指定
- 現在は主に
http
とhttps
が使用される - セキュリティや信頼性に大きく影響
HTTP vs HTTPS
HTTP(HyperText Transfer Protocol)
http://www.sample.com
特徴
- 古い通信方式
- データが暗号化されない
- 盗聴や改ざんの危険性がある
- 現在は非推奨
HTTPS(HTTP Secure)
https://www.sample.com
特徴
- SSL/TLS暗号化が適用された通信方式
- データが暗号化され、安全性が高い
- 現在のWeb標準
- SEOでも有利
HTTPS導入の重要性
HTTPSが特に重要な場面
日常的にWebサイトを利用する場面で、HTTPSの重要性を実感できます。
- お問い合わせフォーム:名前、メールアドレス、電話番号などの個人情報を入力するとき
- ネットショッピング:クレジットカード情報や住所などの重要な情報を入力するとき
- 会員登録・ログイン:パスワードやアカウント情報を送信するとき
- オンラインバンキング:銀行口座情報や取引データを扱うとき
これらの場面でHTTPを使用すると、入力した情報が暗号化されずに送信されるため、第三者に盗み見られる危険性があります。
ブラウザの警告
HTTPサイトにアクセスすると、現代のブラウザは以下の警告を表示します。
- 「この接続ではプライバシーが保護されません」
- アドレスバーに「保護されていません」と表示
- ユーザーに不安を与える
Google検索への影響
- 2014年から:HTTPSサイトを検索結果で優遇
- 2017年から:HTTPサイトに「保護されていません」警告
- 現在:HTTPSでないとSEOで大きく不利
SSL証明書について
HTTPSを使用するには、SSL証明書が必要です。
SSL証明書とは
SSL証明書は、認証機関(CA:Certificate Authority)が発行する電子証明書です。
HTTPSの仕組み
認証機関が認証した証明書をWebサイトに適用することで、ブラウザとサーバー間の通信が暗号化され、安心して通信できるのがHTTPSです。
SSL証明書の詳細な設定方法や選び方については、別途詳しく解説する予定です。
正式なURLの形式とは
実は、URLには「正式な形式」があります。普段何気なく使っているURLが、実際にはどのような仕組みで動いているかを理解しましょう。
正式なURLの形式
本来の正式なURL
https://www.sample.com/index.html
のようにプロトコル+ドメイン+ファイル名となります。
しかし、実際によく見るURLは
https://www.sample.com/
のようにプロトコル+ドメインだけで、ファイル名が省略されています。
なぜ同じページが表示されるのか?
これは、Webサーバーの「デフォルトドキュメント」機能によるものです。
URLの末尾スラッシュの意味
正式なルール
- URLはファイル名まで記述する
- デフォルトドキュメントは省略しても良い
例:
https://www.sample.com/index.html
↓https://www.sample.com/
最後のスラッシュ
多くのWebサーバーは、末尾のスラッシュが省略されても自動的に補完してくれます。
https://www.sample.com
(スラッシュなし)
↓https://www.sample.com/
(自動的に補完)
デフォルトドキュメントの仕組み
デフォルトドキュメントは省略可能と説明しましたが、Webサーバーがどのように仕組みでファイルを見つけるかを詳しく学習しましょう。
デフォルトドキュメントとは
定義
- URLでファイル名を省略した際に、自動的に表示されるファイルのこと
- Webサーバーの設定によって指定される
- 複数の候補ファイルを優先順位付きで設定できる
Webサーバーの動作プロセス
- サーバーがURLを受信
- 例:
https://www.example.com/
- 例:
- URLにファイル名が含まれているか判定
- 設定された優先順位に従ってデフォルトドキュメントを検索
- 一般的な検索順序
- index.html があるか?
- index.php があるか?
- index.htm があるか?
- default.html があるか?
- ファイルが見つかった場合
- そのファイルをURLに付加
- ファイルが見つからない場合
- エラーとする
このように、デフォルトドキュメントの仕組みを理解することで、URL構造の背後にあるWebサーバーの動作をより正確に把握できるようになります。
まとめと実践的な知識
今回学習した重要なポイント
ドメインの階層構造
- トップドメイン:com、jp、localなど(最上位)
- 登録ドメイン:組織名(全世界でユニーク、ピリオド使用不可)
- サブドメイン:サービス名(自由に設定可能)
- 属性ドメイン:日本の特殊ドメイン(co、ne、orなど)
プロトコルの重要性
- HTTP:古い方式、現在は非推奨
- HTTPS:SSL暗号化、現在の標準
- SEO影響:HTTPSは必須
正式なURL形式
- 正式形式:
https://www.sample.com/index.html
- 省略形式:
https://www.sample.com/
- 自動補完:Webサーバーが末尾スラッシュを補完
デフォルトドキュメント
- 検索順序:
index.php
→index.html
→index.htm
… - 動的サイト:
index.php
からURL書き換え処理へ
実践的な活用場面
Webサイト制作時
- ドメインの選定と階層設計
- SSL証明書の導入計画
- デフォルトドキュメントの設定
Webサイト運営時
- パーマリンク設定の理解
- .htaccessファイルの理解
- SEO対策でのHTTPS重要性
トラブルシューティング時
- URLが表示されない原因の特定
- リダイレクトの設定確認
- デフォルトドキュメントの確認
よくある質問と答え
Q1:なぜwwwを省略するサイトが増えているの?
A1:シンプルで覚えやすいURLが好まれるようになったため。技術的にはwww.sample.com
とsample.com
は別のドメインですが、適切に設定すれば同じサイトを表示できます。
Q2:HTTPSにするとサイトが重くなる?
A2:暗号化処理により若干のオーバーヘッドはありますが、現代のサーバーではほとんど影響しません。むしろHTTP/2などの新技術により、HTTPSの方が高速になることもあります。
Q3:デフォルトドキュメントはどれを使うべき?
A3:
- 静的サイト:index.html
- PHPサイト:index.php
- 複数言語対応:index.html(各言語ディレクトリ内)
Q4:URLの最後にスラッシュは必要?
A4:技術的には必要ですが、現代のWebサーバーは自動補完してくれるため、ユーザーが意識する必要はありません。
今後の学習に向けて
さらに深く学びたい方へ
- ドメイン、DNS、IPアドレスの関係性:ドメイン名とサーバーの実際の仕組み
- SSL証明書:HTTPSの詳細な仕組みと設定方法(レンタルサーバーでの導入方法)
これらの詳細については、別途記事を執筆予定です。
最後に
URLの仕組みを理解することで、Webサイト制作や開発における多くの「なぜ?」が解消されたのではないでしょうか。
重要なポイント
- URLは単なる「住所」ではなく、複雑なシステムの集合体
- プロトコル、ドメイン、パスそれぞれに重要な役割がある
- Webサーバーの設定が、URLの動作を大きく左右する
- 動的サイトでは「URL書き換え」により、実際のファイルが存在しなくてもページが表示される
今回学んだ知識は、Web制作全般で役立つ基礎知識です。サイトの設計、トラブルシューティング、SEO対策など、様々な場面で活用してください!
この基礎知識を土台に、さらに深いWeb制作スキルを身につけていきましょう!