2025年06月27日[金曜日]

WordPressとCMSの基礎知識 – なぜWordPressが選ばれるのか?

  • 2025/06/26
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  • Wordpressの基礎
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前回の記事で、Webサイト構築の5つの方法を比較し、CMSテンプレート自作が最もバランスの取れた選択肢であることを確認しました。

今回は、その中核となるWordPress(ワードプレス)について詳しく学んでいきます。ただし、単純にWordPressの機能を説明するのではなく、そもそもCMSとは何なのか?なぜWordPressが圧倒的に選ばれているのか?という根本的な理解から始めていきます。

重要 この記事では概念的な理解を重視し、具体的な操作方法や環境構築は次回以降で詳しく解説します。

CMSとは何か? – コンテンツ管理の革命

CMSの正式名称と基本概念

CMS = Content Management System(コンテンツ管理システム)

CMSとは、Webサイトのコンテンツ(文章、画像、動画など)を、技術的な知識がなくても簡単に管理・更新できるシステムのことです。

CMS登場以前の問題

従来のWebサイト更新の流れ

  1. 文章や画像を変更したい
  2. HTMLファイルを直接編集する
  3. CSSでデザインを調整する
  4. FTPでサーバーにアップロードする

この方法では、ちょっとした文章の修正にもHTMLの知識が必要で、一般の人には更新が困難でした。

CMSが解決した革命的な変化

CMS導入後の更新の流れ

  1. 文章や画像を変更したい
  2. 管理画面にログインする
  3. Wordのような編集画面で内容を変更する
  4. 「更新」ボタンをクリックする

この変化により、プログラミングの知識がない人でも、Webサイトを自由に更新できるようになりました。

CMSが提供する主な機能

コンテンツ管理機能

  • テキスト・画像の簡単な追加・編集・削除
  • ページの追加・削除・並び替え
  • カテゴリーやタグによる分類

ユーザー管理機能

  • 複数人での管理・更新作業
  • 編集権限の設定(管理者、編集者、寄稿者など)
  • ログイン機能による安全な管理

デザイン管理機能

  • サイト全体のデザインを一括管理
  • テンプレート(テーマ)の切り替え
  • レスポンシブデザインの自動対応

WordPressとは何か? – CMSの王者

WordPressの基本情報

WordPress(ワードプレス)は、2003年に開発されたオープンソースのCMSで、現在世界で最も多く使われているCMSです。

重要な特徴

  • 無料で使用可能(オープンソースソフトウェア)
  • 世界中の開発者によって継続的に改良
  • 商用利用も完全に自由

WordPressの圧倒的な市場シェア

世界での利用状況(2024年現在)

  • 全Webサイトの約43%がWordPressで構築
  • CMS市場では65%以上のシェアを占有
  • 毎日数万のサイトが新たにWordPressで構築されている

日本での利用状況

  • 企業サイトの約80%がWordPressを採用
  • Web制作案件の90%以上でWordPressスキルが求められる
  • フリーランス案件でも最も需要の高い技術

なぜWordPressがこれほど普及したのか?

1. 使いやすさ

  • 直感的な管理画面
  • 専門知識がなくても操作可能
  • 豊富な日本語情報

2. 柔軟性

  • シンプルなブログから複雑な企業サイトまで対応
  • 無限のカスタマイズ可能性
  • 様々な業種・用途に適用可能

3. 拡張性

  • 6万種類以上のプラグイン
  • 数千種類のテーマ
  • 独自機能の開発も容易

4. コミュニティ

  • 世界最大のCMSコミュニティ
  • 豊富な学習リソース
  • 活発な情報交換

WordPressの技術的な仕組み – PHPとデータベース

WordPressはPHPで作られている

PHP(ピーエイチピー)は、Webサイト開発に特化したプログラミング言語です。WordPressの核となる部分はすべてPHPで書かれています。

PHPの特徴

  • サーバーサイド言語:サーバー上で動作する
  • Web開発に特化:HTMLとの親和性が高い
  • 学習しやすい:文法が比較的シンプル
  • データベース連携が得意:MySQL等との連携が簡単

データベース(MySQL)との連携

WordPressはMySQLというデータベースシステムを使用して、サイトの情報を保存・管理しています。

※ MariaDBでも動作可能ですが、MySQLが最も安定しており推奨されています。多くのレンタルサーバーでもMySQLが標準採用されています。

データベースに保存される情報

  • 投稿記事の内容
  • ページの内容
  • ユーザー情報
  • サイトの設定情報
  • コメント情報

なぜデータベースが必要なのか?

従来のHTMLサイトでは、各ページが個別のファイルとして存在していました。しかしWordPressでは

  1. 記事を投稿 → データベースに保存
  2. ページを表示 → データベースから情報を取得してHTMLを生成
  3. 動的にページを作成 → 同じテンプレートで様々なページを表示

この仕組みにより、効率的なコンテンツ管理柔軟なサイト運営が可能になります。

WordPressの動作フロー

ユーザーがページを見る時の流れ

  1. ユーザーがURLにアクセス
  2. Webサーバーがリクエストを受信
  3. PHPがデータベースから必要な情報を取得
  4. PHPがHTMLを動的に生成
  5. 生成されたHTMLがユーザーのブラウザに送信
  6. ブラウザがページを表示

この動的な生成こそが、WordPressの柔軟性の源です。

WordPressの動作環境 – 必要なもの

WordPress動作に必要な3つの要素

WordPressを動かすためには、以下の3つの要素が必要です

1. Webサーバー(Apache/Nginx)

  • Webサイトのファイルを保存・配信するサーバー
  • ユーザーからのリクエストを処理
  • 最も一般的なのはApache

2. PHP

  • WordPressのプログラムを実行する言語処理システム
  • データベースとの連携を担当

3. MySQL(データベース)

  • サイトのコンテンツやユーザー情報を保存
  • 高速な検索・取得が可能
  • WordPressが標準的に使用するデータベース

レンタルサーバーなら全て含まれている

本格運用にはレンタルサーバーがおすすめ

Webサイトを一般公開する場合は、レンタルサーバーの契約が必要です。現在のレンタルサーバーは、WordPressに必要な環境がすべて最初から用意されています。

主要レンタルサーバーの対応状況

  • エックスサーバー:WordPress簡単インストール機能付き
  • ロリポップ:ワンクリックでWordPress設置
  • さくらのレンタルサーバー:WordPress専用プラン有り
  • ConoHa WING:WordPressかんたんセットアップ

レンタルサーバーを契約すれば

  • Webサーバー
  • PHP
  • MySQL
  • WordPress

すべてが自動的に利用可能になります。

開発・学習段階では契約不要

ただし、WordPressの学習や開発段階では、レンタルサーバーを契約する必要はありません。自分のパソコン上で開発環境を構築することで、費用をかけずにWordPressを学習できます。

開発環境のメリット

  • 完全無料:課金の心配がない
  • 自由な実験:失敗を恐れずに試行錯誤できる
  • 高速な動作:自分のパソコン上で素早く確認可能

実際のサイト公開は、十分に学習・開発を進めてからで問題ありません。

WordPressの核心機能 – テーマとプラグイン

テーマ – サイトの外観を決める

テーマとは? WordPressの「外観・デザイン」を決定するファイル群です。テーマを変更するだけで、サイト全体のデザインを瞬時に変えることができます。

テーマの仕組み

  • PHPファイル:ページの構造を定義
  • CSSファイル:デザイン・装飾を定義
  • JavaScriptファイル:動的な機能を定義
  • 画像ファイル:デザインで使用する画像

テーマの種類

1. 公式テーマ

  • WordPress公式ディレクトリで配布
  • 厳格な審査を通過した高品質テーマ
  • 完全無料で安全

2. 商用テーマ

  • 有料で販売されているプレミアムテーマ
  • 高機能・高デザイン品質
  • サポートやアップデートが充実

3. オリジナルテーマ

  • 完全に自作するテーマ
  • 無限のカスタマイズが可能
  • 当シリーズで習得する技術

プラグイン – 機能を拡張する

プラグインとは? WordPressに新しい機能を追加するソフトウェアです。スマートフォンのアプリのような感覚で、必要な機能を後から追加できます。

代表的なプラグイン例

SEO対策

  • Yoast SEO:検索エンジン最適化
  • All in One SEO:総合的なSEO機能

セキュリティ

  • Wordfence Security:不正アクセス防止
  • SiteGuard WP Plugin:日本製セキュリティプラグイン

バックアップ

  • UpdraftPlus:自動バックアップ
  • BackWPup:多機能バックアップ

お問い合わせフォーム

  • Contact Form 7:日本で最も人気
  • WPForms:ドラッグ&ドロップで作成

プラグインの利点

  • 簡単インストール:ワンクリックで機能追加
  • 豊富な選択肢:6万種類以上が利用可能
  • 多くが無料:基本機能は無料提供

プラグインの注意点

  • パフォーマンス影響:多すぎると動作が重くなる
  • セキュリティリスク:信頼できるもの選択が重要
  • 競合の可能性:プラグイン同士が干渉する場合あり

ダッシュボード – コンテンツ更新のしやすさ

ダッシュボードとは?

ダッシュボードは、WordPressの管理画面のことです。ここから、サイトの全ての管理・更新作業を行うことができます。

まるでWordのような編集体験

従来のWebサイト更新

<h1>会社概要</h1>
<p>弊社は2010年に設立された...</p>
<img src="image.jpg" alt="オフィス写真">

↑HTMLを直接入力

WordPressでの更新

  • 見出し:文字を選択して「見出し」ボタンをクリック
  • 本文:普通に文章を入力するだけ
  • 画像:ドラッグ&ドロップで挿入

まさにMicrosoft Wordと同じような感覚で、Webサイトの更新ができます。

ダッシュボードの主要機能

投稿・ページ管理

  • 投稿:ブログ記事、ニュース記事の管理
  • ページ:会社概要、サービス紹介などの固定ページ
  • カテゴリー・タグ:記事の分類管理

メディア管理

  • 画像・動画のアップロード:ドラッグ&ドロップ対応
  • メディアライブラリ:アップした画像を一元管理
  • 画像編集:基本的な画像編集機能

外観管理

  • テーマ:サイトデザインの変更
  • カスタマイザー:リアルタイムでデザイン調整
  • メニュー:ナビゲーションメニューの編集

ユーザー管理

  • 権限設定:管理者、編集者、寄稿者などの役割分担
  • 複数人運営:チームでのサイト管理が可能

リアルタイムプレビュー機能

WordPressのカスタマイザー機能では

  • 左側で設定を変更
  • 右側でリアルタイムに結果を確認
  • 気に入ったら「公開」、気に入らなければ「キャンセル」

この機能により、安心してデザインの調整ができます。

モバイル対応も自動

現代のWordPressテーマは、レスポンシブデザインに標準対応しています。

つまり

  • PC用のコンテンツを更新するだけ
  • スマートフォン用のデザインは自動調整
  • タブレット用の表示も自動対応

1回の更新で、全デバイスに対応できます。

なぜWordPressが選ばれ続けるのか?

技術的な優位性

1. 柔軟性と拡張性の両立

  • シンプルなブログから複雑な企業サイトまで対応
  • プラグインによる無限の機能拡張
  • カスタマイズの自由度が非常に高い

2. SEO(検索エンジン最適化)に強い

  • 検索エンジンに好まれる構造
  • SEO対策プラグインが豊富
  • 表示速度の最適化が可能

3. セキュリティ対策が充実

  • 定期的なセキュリティアップデート
  • セキュリティプラグインが豊富
  • 大規模なコミュニティによる脆弱性の早期発見

ビジネス面での優位性

1. コストパフォーマンスが最高

  • ソフトウェア自体は完全無料
  • レンタルサーバー代のみで運用可能
  • 長期的な運用コストが非常に安い

2. 人材確保が容易

  • WordPress技術者が豊富
  • 学習リソースが充実
  • 後任者の引き継ぎが簡単

3. 将来性がある

  • 継続的な開発・改良
  • 最新のWeb技術への対応
  • 長期間の安定運用が可能

エコシステムの強み

巨大なコミュニティ

  • 世界中の開発者が参加
  • 日本語情報も非常に豊富
  • 問題解決の情報が見つけやすい

豊富なリソース

  • 6万種類以上のプラグイン
  • 数千種類の無料・有料テーマ
  • 学習用のチュートリアルが豊富

企業サポート

  • Automattic社による継続的な開発
  • 大手企業での採用実績
  • 長期的な安定性

まとめ:WordPressを選ぶ理由

今回学んだように、WordPressは単なる「ブログシステム」ではありません。現代的なWebサイト制作に必要な全ての要素を備えた、総合的なCMSです。

WordPressの本質

  • 技術的な複雑さを隠蔽:PHPやデータベースを意識せずに使える
  • 柔軟性と使いやすさの両立:高度なカスタマイズも簡単な更新も可能
  • 継続的な改良:常に最新のWeb技術に対応

なぜテンプレート自作を学ぶのか?

既存のテーマを使うだけでも十分なサイトは作れます。しかし、オリジナルテーマの制作を学ぶことで

  • 完全にオリジナルなデザインが実現可能
  • クライアントの要望に100%対応できる
  • 長期的な保守・拡張が自由自在
  • プロフェッショナルなスキルが身につく

次回予告:WordPress開発の準備を始めよう

WordPressとは何かを理解したところで、いよいよ実際にWordPressに触れてみる段階に進みます。

次回のテーマ

WordPressを実際に動かしてみる

まずはWordPressがどのように動作するのかを、実際に体験してみましょう。理論的な理解から実践的な経験へ、大きな一歩を踏み出します。

WordPressの管理画面に触れ、投稿やページの作成を体験し、テーマの切り替えを試してみることで、WordPressの可能性と仕組みをより深く理解できるようになります。

次回から、いよいよ実践的なWordPress学習が始まります。理論の理解から実際の制作技術習得へ、一緒にステップアップしていきましょう!

WordPressオリジナルテーマ制作への第一歩を、一緒に踏み出しましょう。