サンプルサイト「WPCafe」で学ぶ実践WordPressテクニック
- 2025/10/15
- PRACTICE
- カフェサイトを作ろう
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これまで40回にわたり、WordPressの基礎を学んできました。テーマの仕組み、テンプレート階層、ループ処理、カスタムフィールドなど、WordPressサイト制作に必要な知識を一通り習得してきましたね。
ここからは、いよいよ実践編に入ります。
学んだ知識を実際のサイト制作でどう活用するのか。どのように設計し、どう実装していくのか。今回から、実在するサンプルサイトを題材に、一から制作プロセスを解説していきます。
目次
サンプルサイト「WPCAFE」の全体像
サイトの概要
このサンプルは、実在しないオシャレなカフェのWebサイトです。予約機能、メニュー紹介、スタッフブログ、アクセス情報など、実際の店舗サイトに必要な要素を一通り実装しています。
サイトURL: https://sample001.wp-ch.jp/
ぜひ一度、実際にサイトを訪れて、動きや機能を確認してみてください。スクロールに応じたアニメーション、スライダー、フォームなど、様々な要素が組み込まれています。
このサンプルを通して学べること
このサンプルサイトの制作を通じて、以下のWordPress実装テクニックを習得できます。
すべてをWordPressで管理する設計思想【最重要】
このサンプルサイトでは、コンテンツのすべてをWordPressのダッシュボードから編集可能にしています。
管理画面から変更できる要素
- 住所・電話番号・営業時間などの基本情報
- SNS(Instagram、Facebook、Twitter等)のアドレス
- トップページのslickスライダー画像
- メニュー内容
- その他、サイト内のあらゆるテキストと画像
なぜこれが重要なのか
実際の制作現場では、納品後にクライアント自身がサイトを更新するケースがほとんどです。HTMLファイルを直接編集する必要があるサイトでは、更新のたびに制作会社への依頼が必要になり、運用コストが膨らみます。
すべてをWordPressで管理することで、HTMLやCSSの知識がない編集者でも、簡単にサイトを更新できるようになります。これが「運用しやすいサイト」の本質であり、プロとして最も重要なスキルの一つです。
テーマファイルにベタ書きすれば簡単に実装できる部分でも、あえてカスタムフィールドやオプションページを用意する。この「一手間」が、クライアントの満足度を大きく左右します。
カスタム投稿タイプの実装
WordPressの通常の投稿は「スタッフブログ」として使用し、それとは別に「メニュー」や「レビュー」など、独自のコンテンツタイプを作成する方法を学びます。
カフェサイトならではのメニュー管理を例に、カスタム投稿タイプの設計から実装、表示までを体験します。どのようなコンテンツをカスタム投稿タイプにすべきか、その判断基準も理解できるようになります。
お問い合わせフォームの設置【本格実装】
予約やお問い合わせを受け付けるフォームを、プラグインに頼らず一から構築します。実際のビジネスサイトには必須の機能を、自分の手で実装する力を身につけます。
実装する機能
- 入力 → 確認 → 完了の3ステップ式フォーム
- JavaScriptによるリアルタイム入力チェック
- ユーザーへの自動返信メール(控えメール)送信
- PRG(Post-Redirect-Get)パターンによるフォーム二重送信対策
PRGパターンとは?
フォーム送信後、ブラウザの「戻る」ボタンを押したり、送信完了ページでリロードしたりすると、「フォームを再送信しますか?」という警告が表示された経験はありませんか?最悪の場合、ユーザーが気づかずに同じ予約を2回送信してしまうこともあります。
PRGパターンは、この問題を防ぐ手法です。完了ページでリロードしても再送信されず、戻るボタンを押しても安全。実務では必須のテクニックを、しっかり理解して実装します。
ここがポイント
Contact Form 7などの既製プラグインを使えば簡単ですが、それでは内部の仕組みが理解できません。このサンプルでは、フォーム処理の基本からセキュリティ対策まで、すべて自分でコードを書いて実装します。
データの受け取り方、バリデーション、セッション管理、メール送信、そしてセキュリティ。これらの知識は、フォーム以外の機能開発でも必ず役立ちます。
この経験により、プラグインではカバーできない独自の要件にも対応できる、真の実装力が身につきます。
Instagramフィードの埋め込み【応用テクニック】
SNSとの連携は現代のWebサイトに欠かせません。このサンプルでは、Smash Balloon Instagram Feedプラグインを使用してInstagramのデータを取得しますが、単にプラグインのデフォルト表示を使うのではありません。
ここがポイント
Smash Balloon Instagram Feedで取得したデータをベースに、独自のCSSとテンプレートを適用して、サイトデザインに完全にマッチした表示を実現しています。プラグインは「データ取得」の役割に徹し、見た目は完全にコントロールする実践的なテクニックを学びます。
通常、プラグインの表示デザインは変更が難しいものです。プラグインが出力するHTMLやCSSクラスに縛られ、思い通りのデザインにできないという経験をした方も多いでしょう。
しかし、プラグインの本質的な機能(この場合はInstagram APIとの連携)だけを利用し、表示部分は自分でコントロールする。この手法をマスターすれば、どんなプラグインでも自由にデザインをカスタマイズできるようになります。
Googleマップの埋め込み
店舗の所在地を分かりやすく表示するため、Googleマップを効果的に配置する方法を習得します。
単にiframeで埋め込むだけでなく、サイトのデザインに調和させる方法、レスポンシブ対応、そしてアクセシビリティへの配慮まで解説します。
使用するJavaScriptライブラリ
サイトに動きと洗練されたUIを加えるため、以下のJavaScriptライブラリを活用します。
slick
カルーセルスライダーの実装に使用します。トップページのメインビジュアルやメニューの画像スライダーなど、複数箇所で活用します。
AOS (Animate on Scroll Library)
スクロールに応じたアニメーション効果を実装します。要素が画面に入ってきたタイミングでフワッと表示されるような、モダンなWebサイトには欠かせないエフェクトを簡単に追加できます。
datepicker
予約フォームの日付選択機能に使用します。ユーザビリティを向上させる重要な要素です。
Headroom
スクロールに応じたヘッダーの表示制御に使用します。下にスクロールするとヘッダーが隠れ、上にスクロールすると再表示される、あの動きを実装します。
これらのライブラリの選定理由、導入方法、カスタマイズ方法についても詳しく解説していきます。
使用するプラグイン一覧
このサンプルサイトでは、以下のプラグインを使用します。それぞれの役割を理解し、適切に活用することも重要なスキルです。
コンテンツ管理系
- Advanced Custom Fields (ACF) – カスタムフィールドの作成と管理
- Smart Custom Fields – 追加のカスタムフィールド管理
- Admin Columns – 管理画面の投稿一覧カラムをカスタマイズ
- Category Order and Taxonomy Terms Order – カテゴリーやタームの並び替え
機能拡張系
- Smash Balloon Instagram Feed – Instagram連携とフィード表示
- WP Mail SMTP – メール送信の最適化と信頼性向上
- Block Manager – Gutenbergブロックの有効/無効管理
パフォーマンス・最適化系
- Autoptimize – CSS/JavaScriptの最適化と圧縮
- EWWW Image Optimizer – 画像の自動最適化
- WP-Optimize – データベースのクリーンアップと最適化
管理・セキュリティ系
- FileBird Lite – メディアライブラリをフォルダで整理
- Site Kit by Google – Google Analytics、Search Consoleなどとの連携
- SiteGuard WP Plugin – ログイン画面の保護などセキュリティ強化
その他
- WP Multibyte Patch – 日本語環境での文字化け防止と最適化
- WP-PageNavi – ページネーション機能の強化
プラグインは便利ですが、多すぎるとサイトが重くなります。このサンプルでは、必要最小限のプラグインで最大限の機能を実現する設計思想も学べます。
学習の進め方
次回以降、このサイトを実際に一から構築していきます。
想定する流れ
- 開発環境の準備 – ローカル環境のセットアップ
- テーマの基本構造作成 – ファイル構成とディレクトリ設計
- ヘッダー・フッターの実装 – 共通パーツの作成
- トップページの構築 – スライダーやセクションの実装
- カスタム投稿タイプの実装 – メニュー管理機能
- お問い合わせフォームの実装 – フォーム処理の完全理解
- 各種連携機能 – Instagram、Googleマップなど
- 最適化と仕上げ – パフォーマンス改善とデバッグ
各回で一つのテーマに集中し、丁寧に解説していきます。コードの解説だけでなく、「なぜこの方法を選ぶのか」という設計思想の部分も重視します。
実践で身につく本物のスキル
これまでの40回で学んできた基礎知識は、すべてこのサンプルサイトで活用されています。
- テンプレート階層の理解 → 適切なファイル構成
- ループ処理 → 投稿の表示
- カスタムフィールド → 柔軟なコンテンツ管理
- functions.phpの活用 → 機能の追加とカスタマイズ
基礎を学んだだけでは、実際のサイトは作れません。それらをどう組み合わせ、どう設計するか。その「実践力」を、このサンプルサイトの制作を通じて身につけていきましょう。
完成したサイトのコードを見るだけでは、本当の理解は得られません。自分の手で一から構築し、試行錯誤する過程こそが、確かなスキルへとつながります。
次回予告
次回は、開発環境の準備からスタートします。ローカル環境でWordPressを動かし、テーマの基本ファイルを作成していきます。
まずは手を動かすことから。一緒に、実践的なWordPressサイト制作の世界に踏み出しましょう。
サンプルサイト: https://sample001.wp-ch.jp/
ぜひサイトを実際に触ってみて、どんな機能があるのか、どう動いているのかを確認してみてください。次回から、このサイトを一緒に作り上げていきます。
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